キャリアの計画を、きちんと立てたことがありません。
5年後に、こうなっていたい。
そのために、今年はこれをする。
そんなふうに考えて動いたことは、ほとんどないと思います。
私が学生のころは、キャリアについて考える授業を受けた記憶もありません。
キャリアを考えるきっかけそのものが、なかったのだと思います。
キャリアを考える視点を手に入れたのは、キャリアコンサルタントとして学び始めてからです。
その視点で振り返ってみると、私のキャリアは人からかけてもらった一言でできていました。
🍡 節目には、いつも誰かの一言がありました
新卒の配属は、第3希望の「空欄」に丸がついた手術室でした。
次に働いた大学病院は、当時一緒に働いていた医師たちが勧めてくれた病院です。
そこから病棟に移り、8か月で退職しました。
病棟を辞めたあとは、日勤のみの個人クリニックで働きました。気持ちを立て直すような時間でした。
やがて不妊治療が本格的になり、そのクリニックも辞めました。
単発の派遣で働いていたころ、派遣先の医師に勧められたのが、シフトの融通がきく有料老人ホームです。
そこで約5年、治療と両立しながら働き、やがて治療にひと区切りをつけました。
そのうちの2年間は、新卒の病院でお世話になった医師に声をかけてもらい、手術室のパートも並行していました。
こうして並べてみると、節目にはいつも、誰かの一言があります。
🍡 派遣で出会った、いろいろな働き方
治療にひと区切りがついたとき、これからは自由に働いてみようと思いました。
コロナ禍のころ、派遣の看護師として、いろいろな現場に行きました。
そこで出会ったのが、いろいろな働き方をしている看護師さんたちです。
- 精神科の訪問看護をしている人
- 製薬会社で、リモートで働いている人
- 美容クリニックで、アートメイクをしている人
- 医療通訳として、海外を飛び回っている人
病院の中にいたころの私は、看護師にこんなに働き方があることを知りませんでした。
看護師の働き方は、病院の中だけではない。
それを、目の前の人たちが見せてくれました。
🍡 元看護師長さんのひと言
派遣先で一緒になった方の中に、看護師長をされていた方がいました。
ある日、その方がこう言ってくれたのです。
「ゆくゆくは、キャリアコンサルタントや産業カウンセラーを取ったらいいよ」
キャリアコンサルタントが何をする仕事なのか、当時の私はよく知りませんでした。
でも、その言葉はすっと入ってきました。
人と関わる仕事には、きっと必要になりそう。
そう思って、やりたいことリストに、すんなり書き加えました。
よく分からないけれど、なんだか面白そう。
その気持ちのまま調べ始めて、ハローワークにも相談に行きました。
🍡 マッサージ店の雑談が、点と点をつないだ
それからしばらくたったころです。
通っていたマッサージ店で、担当の方が「健康経営」について学んでいると話してくれました。
気になって、その日のうちに調べました。
調べていくうちにたどり着いたのが、「両立支援」という言葉です。
病気の治療と仕事を、両立できるように支えること。
治療と仕事の両立に悩んできた私には、他人事ではありませんでした。
そして、両立支援に関わっている人たちの資格を見て、驚きました。
キャリアコンサルタント。
産業カウンセラー。
あの元看護師長さんが勧めてくれた資格と、同じだったのです。
🍡 「つながっていたんだ」と思えた日
バラバラだと思っていた出来事が、一本の線になった気がしました。
あのときの一言が、ここにつながっていたんだ。
そう背中を押してもらったようで、うれしかったのを覚えています。
私は、キャリアコンサルタントの資格を取ることにしました。
その途中で、両立支援コーディネーターの資格も取っています。
🍡 あとから名前がついた「計画的偶発性」
キャリアコンサルタントの勉強をしていたとき、ある理論に出会いました。
計画的偶発性理論(プランド・ハプンスタンス理論)です。
アメリカの心理学者、ジョン・D・クランボルツが提唱した考え方です。
キャリアの多くは、予想していなかった偶然の出来事に左右される。
だから、偶然を避けるのではなく、偶然を活かせるように動いておくことが大切だ、という考え方です。
偶然を活かすために大切だとされているのが、次の5つです。
- 好奇心:新しいことに興味を持つ
- 持続性:うまくいかなくても、続けてみる
- 柔軟性:こだわりすぎず、変えてみる
- 楽観性:きっと何とかなると考える
- 冒険心:結果が分からなくても、やってみる
教科書を読みながら、少し驚きました。
私がしてきたことに、名前がついていたのです。
🍡 していたのは、「乗ってみる」ことだけでした
5つの力が、全部そろっていたわけではありません。
ただ、振り返ると、いくつかは当てはまる気がします。
- よく分からないけれど面白そうだと、勧められた資格を調べてみた(好奇心)
- 治療に合わせて、シフトの融通がきく職場に移った(柔軟性)
- 「ゆくゆくは」の一言を、やりたいことリストにすんなり加えた(楽観性)
特別なことをしたわけではありません。
かけてもらった一言に、とりあえず乗ってみた。
私がしていたのは、それだけだったと思います。
もちろん、乗ってみてうまくいかなかったこともあります。病棟での8か月も、そのひとつです。
🍡 キャリアの計画が立てられないあなたへ
「5年後のキャリアプランを考えてみましょう」
そう言われて、手が止まったことはありませんか。
計画が立てられない自分を、責めなくていいと、私は思います。
少なくとも私のキャリアは、計画どおりには進みませんでした。
最初から5年後まで決められる人は、決めればいい。
決められない人は、目の前の一歩から始めてもいい。
ただ、もし誰かにかけてもらった一言が、心のどこかに残っているなら。
それに乗るか、乗らないか。
決めるのは、あなたです。
乗ってみた先で、思ってもいなかった線がつながることもある。
私の場合は、そうでした。
※この記事は、私自身の経験をもとに書いています。特定の職場や個人の話ではありません。
※新卒の配属や、手術室のパートのことはこちら、病棟に移って8か月で辞めたときのことはこちらに書いています。
※気持ちの部分や、看護以外の場面での迷いについては、noteに書いています。
きび団子職人

